油虫とハエ:悪霊 (1)
悪霊 (1) (光文社古典新訳文庫)を読みましたので、あらすじと、考察を書いていきます。
<あらすじ>
ヴェルホヴェンスキー氏とワルワーラ夫人はよく一緒に会話をする友人関係である。
あるとき、ワルワーラ夫人は結婚話をヴェルホヴェンスキー氏に持ち掛ける。ヴェルホヴェンスキー氏は動揺しながらも、結婚する意志を固めていたようであった。
そんな中、それぞれの子供たちが2人のもとに帰ってくる。
ワルワーラ夫人の子、スタヴローギンは、足の悪いマリヤ・レビャートキンと結婚しようとしているが、純粋ではない理由があるようであった。
また、ヴェルホヴェンスキー氏の子、ピョートルはスタヴローギンの結婚について、何かしら知っているようである。
スタヴローギンの結婚にどんな意図があるのか、また、ヴェルホヴェンスキー氏の結婚話はどのように進展するのか…
<考察>
以下の文が良く分かりませんでしたが、考察しました。
奥さま、油虫は不平ひとつこぼさないんですよ! これが、あなたの『どうして?』っていう問いに対する答えです
悪霊 (1) (光文社古典新訳文庫 Aト 1-11) p.427より引用
レビャートキンの妹、マリヤ・レビャートキナは足が悪く、慈善委員会の活動をしているワルワーラ夫人から寄付金を受け取りましたが、ほかの人からはお金を受け取らないようにしていました。
そこでワルワーラ夫人が「どうして?」他からは受け取らず、自分のは受け取ったのかを尋ねました。
それに対する回答として、レビャートキンが言ったのが引用した言葉です。
この表現がすんなりとは理解できませんでしたが、レビャートキンとワルワーラ夫人との会話の中にヒントがありました。
会話の中で、レビャートキンは、油虫の寓話という自作した話を朗読し始めました。
それは、油虫が、ハエ取り薬でいっぱいの瓶の中に落ち、それからハエたちも瓶の中に落ちていきました。そんな中、老人がハエも油虫も一緒くたにゴミだめに捨ててしまいますが、それでも油虫は不平ひとつこぼさない、
という内容でした。
その後、ヴェルホヴェンスキー氏がレビャートキンについて話し始めました。
奥さま、あなたのこの立派なお屋敷も、ことによると、このうえなく素性正しい男の所有物になるかもしれません、ですが、油虫は不平ひとつこぼしたりはいたしません!悪霊 (1) (光文社古典新訳文庫 Aト 1-11) p.429より引用
ここで、素性正しい男とは、寓話に出てきた老人のことです。
その男の所有物になるということは、奥さまであるワルワーラ夫人がハエでありレビャートキンは油虫、瓶の中にいるということは、ワルワーラ夫人もレビャートキンと同等であると、考えているということです。
レビャートキンは酒に酔って妹を殴るといった人物であると表現されています。
ワルワーラ夫人は慈善委員会の活動をしていますが、本性はレビャートキンと同等の人間であるという表現かと思われます。
<感想>
スタヴローギンは以前冷笑的な生活をしていたということですが、どのような感じだったのか、興味深いです。マリヤ・レビャートキナとの関係性についてもどう発展するのか、2巻目以降を楽しみにしています。